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◆「身近な情報のひろば」は、障がいのあるお子さん・人に関する情報を集めた広場です。
 少しずつ内容を充実させていきたいと思っています。
◆次のことを考えています。
 @熊本市・県・国(文部科学省・厚生労働省)の特別支援教育、障がい福祉の部局等の該当ページ、データにリンク
 A育成会や「手をつなぐ」の情報を提供。全国育成会へのリンク
 BQ&A方式で、情報を提供
 C自前の資料の提供
 D実際に、お尋ねができるようにする
◆情報の多くは、行政や公的機関によるものです。少しずつ内容を充実させていきたいと考えています。
◆情報によっては、各公共機関や行政などのサイトにリンクさせていますので、そちらのページをご参照ください。
◆内容に誤りがありましたら、お手数ですが、電話やメールなどでご連絡ください。

1 関係機関へのリンク
    
※クリックしてください
2 おたずね Q&A 


 

2 おたずね Q&A
 @ 特別支援教育資料 (※熊本市手をつなぐ育成会作成)のページ
 
A 熊本市教育委員会 特別支援教育Q&A(小学校、中学校)のページ
  B 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センターのページ(※抜粋)


B 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センターのページ Q&A [※抜粋]
     http://cpedd.nise.go.jp/qa
   ※国立特別支援教育総合研究所は、障がいのある子どもの教育に関する研究、研修・支援、情報普及などを行う国の機関で、神奈川県横須賀市にあります。

  [留意点](このQ&Aについては、以下の点をあらかじめご了解ください)  
 @ 「国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター」のホームページの「特別支援教育Q&A」と「発達障害Q&A」を、ほぼそのまま貼り付けています。
   (質問項目を一部割愛、他は、質問項目、回答とも原文のまま)
 A 発達障がいの子どもを対象に書かれていますので、知的障がいの子どもには合わないところがあります。
 B 保護者向けですが、少し難しいところがあるかも知れません。
 C 熊本県や熊本市の制度や現状と違っているものもあります。
 D 情報が最新のものではない場合があります。

《1 就学・進学に関すること》


 ○発達障がいのある子どもを積極的に受け入れてくれる保育所や幼稚園はありますか?

 基本的に公立の幼稚園、保育所は障がいの有る無しにかかわらず地域の子どもの受け入れを行います。しかし、地域によって各施設の定員が違うため、申し込んでも待機となる場合があります。
 幼稚園はお住まいの地域の教育委員会、保育所は役所の福祉課へお問い合わせください。入園にあたっては、事前に見学したり、どのような支援が行われているか話を聞いたりしておくことをお勧めします。
 子どもが入園の時期を迎える前に、早めに相談をすることが大切です。

 
○ 障がいのある子どもは、入学後どのような指導・支援を受けることができるのですか?また、小学校にはどのような指導・支援の場があるのですか? 
 子どもの学習面や行動面への指導・支援を行う場として、小学校には特別支援学級や通級指導教室といった場が設けられており、子どもの特性に合わせた指導や支援が行われています。
 また、通常の学級に在籍している子どもには、担任や加配の先生が指導・支援を行っています。
 子どもの状態に適した指導・支援が学校でどのように受けられるのか、就学前は教育委員会に、入学後は担任の先生に相談することをおすすめします。

 ○ 入学前に、子どもの様子を小学校に伝えておいた方がよいでしょうか?
 その方がよいと思います。小学校は、幼稚園や保育園と活動内容が大きく異なります。そのため、発達障がいのある子どもの場合は、状況の変化に大きな不安を感じ、落ち着きがなくなったり、大きな声を出したり等といった行動につながることもあります。こうした子どもの状態が担任の先生に伝わっていないと、先生も戸惑い、不適切な対応につながってしまう可能性があります。
 子どもの特性にあった対応を求めるためには、学校に子どもの様子を事前に伝えておくことが大切です。
 
 ○ 入学前に、学校の見学をすることはできるのでしょうか?
 できます。事前に入学する学校の様子を見ておくことは大切です。ただし、学校にも行事の予定等がありますので、見学したい日時を早めに連絡し、見学可能かどうかを確認しておく必要があります。
 また、見学理由や、現在、心配に感じていること等を相談しておくことも大切です。
 
 ○ 入学前に、準備しておいた方がよいことはあるのでしょうか?
 学校で使う持ち物等は、通常1月末から2月頃に小学校で説明会が行われます。説明会に参加し、心配なことはあらかじめ相談しておきましょう。基本的には、学校では着替えや給食の準備、後片付け等自分のことは自分で行うように指導されます。洋服を着替えたり、着替えた服をたたんだりすること、持ち物の片付け、食事の準備や片付け等は家庭でも練習できます。入学を機に一人でできるよう練習しておくとよいでしょう。
 
 ○ 入学する小学校は、どのような流れで決まるのですか? 保護者が希望を伝えることはできるのでしょうか?
 それぞれの学校には各教育委員会で定めた学区があり、住民登録をしている地域ごとに入学する学校が決まっています。特別な理由がない限り、保護者の希望で学区を変更することはできません。
 ただ、障がいのある子どもの場合、学区の学校に特別支援学級がない場合があります。その場合は、近隣の特別支援学級のある学校へ入学することができます。また、学区の学校に新たに特別支援学級を設置してもらうことが可能な場合もあります。いずれにしても、入学前にお住まいの地域の教育委員会に相談しておくことが必要です。
 教育委員会で「入学相談会」が行われる場合がありますので、幼稚園や保育所の担当者と相談し、早めに問い合わせておくことが大切です。
 
 ○ 就学先を決めるのに迷っています。就学先を決める時に、留意することはどのようなことでしょうか?
 就学先の決定は、どの保護者にとっても不安が大きいものです。就学先決定で一番大切なことは、子どもの将来を見すえ、子どもにとっての特別な教育的支援は何かをしっかり把握しておくことです。
 また、障がいの程度や特性の把握だけではなく、特別な教育的支援として何が必要か、学校の受け入れ体制はどうか等をしっかり把握することが大切です。現在、障がいのある子どもの学びの場として、@通常の学級、A特別支援学級、B通級による指導(通常の学級に在籍し、定期的に通級指導教室で指導を受ける)、C特別支援学校があります。
 これらの学びの場の選択や決定にあたっては、何を基準にして判断すればよいか難しい問題があります。就学前に、学校を参観したり、各学校の特別支援教育コーディネーターに相談をしたりするとよいでしょう
 
 ○ 就学について不安があるのですが、どこに相談すればよいでしょうか?
  幼稚園や保育所の先生に相談することが大切です。あるいは療育センター等に定期的に通っている場合は、その担当者に相談することも可能でしょう。
 また、各都道府県に設置されている教育センターでも無料で教育相談を受けることができます。
                              
 ○ 相談機関で知能検査を受けました。知能検査とは、何を知るものなのですか?
 知能検査によって、子どもの知的発達水準の程度、情報処理の仕方や子どもの強い能力や弱い能力等の情報がわかります。これらの結果をもとに、子どもにあった関わり方や指導・支援の方法を探ることができます。なお、知能検査は、一度行うと1年近く間隔を空けないと再度実施できない場合が多いため、結果を有効に活用できるよう、検査結果について、きちんと説明を受けることが重要です。そして、子どもが在園、在籍する場(幼稚園、保育所、学校等)でも結果を活用してもらえるよう、所見等を保管しておくことが大切です。

 ○ 中学卒業後は、どのような進路があるのでしょうか?
 中学校卒業後の進路としては、高等学校への進学を選択することが多いでしょう。高等学校には、全日制普通科、職業科(商業、工業、農業等)や定時制普通科(昼間の定時制もあります)の他に、多様なコースを持つ総合高等学校や必要な授業を選んで受けられる単位制高等学校等もあります。また、通信制高等学校のように、自宅学習が中心となる高等学校や特別支援学校高等部といった選択肢もあります。子どもの特性や希望に応じて進路先を選ぶ必要があります。
 事前に進路を希望する学校を見学したり、説明会に参加したりして学校の様子を調べておくことが大切です。中学校在学中の早い時期に、担任の先生などと相談することが必要です。

 ○ 高校卒業後は、どのような進路があるのでしょうか?
 卒業後の進路として、大学や専門学校への進学、就職等が考えられます。子どもの希望や特性に応じて考えることが大切です。進学する場合は、卒業後の進路や就職についても考えておくことが必要です。また、これらは保護者だけが決定するのではなく、子どもと一緒に情報を集め、進路先を考えることが大切です。

 ○ 高校受験の際、配慮をお願いすることはできるのでしょうか?
 公立高校を受験される場合には各自治体の教育委員会へ、私立高校の場合には直接学校へ問い合わせてください。特に、受験では公平性が求められるため、容易に試験時の配慮が認められないことがあるかも知れません。そのような場合には、中学校の時にも定期試験で配慮を受けていた実績や個別の指導計画等が、重要な資料になると考えられます。受験になって慌てて配慮を要請するのではなく、中学校在学時から定期試験にどのように配慮を求めるのかについて、本人、先生や保護者とで話し合いの機会を持つことが大切です。

 ○ 中学校で受けた配慮は、高校でもお願いできるのでしょうか?
 子どもがどのような困難さ(細かな形を捉えることが難しい等)があるのか、そのためにどのような配慮(テスト問題を拡大してほしい。時間を延長してほしい等)を希望するのかについて、担任の先生に相談しましょう。それらの先生が窓口となって、配慮を必要とする教科を担当する先生に話をしてもらえる場合があります。
 この場合、中学校の時の定期試験での配慮状況等が重要な資料になると考えられます。そのため、中学校在学時から定期試験等にどのように臨むかについて、本人、先生、保護者とで、話し合いの機会を持つことが重要でしょう。必要な配慮がされていないことで、子どもが本来持つ力を発揮できないのはとても残念です。しっかりと希望を伝えることが大切です。

 ○ 学校間の引き継ぎは、どのようにすればよいのでしょうか?
 卒業学年の担任や特別支援教育コーディネーターの先生を中心に、個別の指導計画に基づいて進学先の学校側と情報共有を行います。話し合いには、現在在籍している学校の担任、特別支援教育コーディネーターや進学先の学校の特別支援教育コーディネーター、養護教諭等に参加してもらうとよいです。
 その子どもや保護者の願い、子どもへの有効な支援方法や入学後における必要な配慮事項等を話し合うことで、共通理解が図られていきます。
 また、保護者の了解のもとで、個別の教育支援計画に基づいて、医療・福祉等、関係機関との連携についても把握していきます。その際に、進学後も連携の必要な関係機関がある場合には、保護者の了承を得て、進学先とも連携をとれるようにしていきます。進学後も、その子どもが、よりスムーズに学校生活を過ごせるように必要に応じて関係者と話し合いを行うこともあります。


2 特別支援教育とは

 ○ 特別支援教育とは、どのような考え方なのでしょうか?
 平成19年4月1日から、それまでの障がいの程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から、障がいのある子ども一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換が図られました。
 特別支援教育は、障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導や必要な支援を行うものです。
 これまでの特殊教育の対象の障がいだけでなく、発達障がいも含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されることになりました。

 ○ 特別支援教育の制度は、どのようになっているのでしょうか?
 特別支援教育を推進するための制度については、以下のように制度が整備されました。
 @盲・聾・養護学校を複数の障がい種別を対象として教育できる総合的な特別支援学校に転換し、盲・聾・養護学校教諭免許状を特別支援学校教諭免許状に一本化する、A特別支援学校に地域のセンターとしての機能を位置づける、BLD・ADHDを新たに通級による指導の対象とする。
 また、各学校における特別支援教育の体制整備としては、校内委員会の設置、子どもの実態把握、特別支援教育コーディネーターの指名、個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成、教員の専門性の向上等が求められています。


3 学びの場に関すること


 ○ 特別支援学級と通常の学級の違いは、何ですか?
 特別支援学級と通常の学級では、まず学級に在籍する児童生徒の人数が違います。
 現在、特別支援学級は1クラス8名の定員、通常の学級は40名(1年生は35名)となっています。また、通常の学級は、小学校または中学校学習指導要領に則って、教科等の目標や学習内容が決まっています。特別支援学級は、小学校または中学校学習指導要領に準ずることを原則としていますが、障がいのある子どもの特性等を踏まえて「特別な教育課程」を編成することができ、より個に応じた学習内容や活動を行うことができます。
 特に特別支援学級では、障がいの改善・克服をめざした「自立活動」を行うことが認められています。

 ○ 特別支援学級とは、何ですか?
 特別支援学級は、知的障がい、肢体不自由、身体虚弱、弱視、難聴、言語障がい、自閉症・情緒障がいが設置されています。
 小学校、中学校、高等学校などでは、教育上特別の支援を必要とする幼児児童生徒に対し、障がいによる学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことを目的に、特別支援学級は設置できるとされています。
 しかし、実際は高等学校には特別支援学級は設置されていません。
 なお、疾病により療養中の子どもに対しては、「院内学級(病院内にある特別支援学級)」が設けられていたり、病院に教員を派遣して教育を行ったりできることになっています。
 
 ○ 特別支援学級に籍を置くと、通常の学級に籍を移すことはできないのでしょうか?
 そのようなことはありません。子どもの障がいによる日常生活の困難等が特別支援学級での指導・支援によって改善され、通常の学級での学習活動に参加できる状態になった場合は、本人、保護者、担任、学校長や市区町村教育委員会と相談しながら学籍を移すことができます。大切なことは、特別支援学級と通常の学級との学習環境の違いや、子どもの障がいの状態を適切に踏まえた上で判断することです。
 また、通常の学級では、子どもの障がいの状態を踏まえた対応が求められますので、教室環境や学習内容・方法等についても一層の配慮が求められることに留意する必要があります。

 ○ 特別支援学級に在籍していると、通常の学級で授業を受けることはできないのでしょうか?
 現在、「交流及び共同学習」という呼び方で、特別支援学級の児童生徒が、同学年の通常の学級の教科学習や行事活動等を積極的に活動できるよう進められています。「交流及び共同学習」を進めていく上で大切なことは、子どもの障がいの状態や特性を踏まえた上で、無理のない学習や活動を選択し、細やかな配慮をすることです。また、通常の学級の児童生徒が、同じ仲間として受け入れ、思いやりのある教育活動が図られるようにしていくことも大切です。

 ○ 交流及び共同学習とは、何ですか?
 平成16年に障害者基本法が一部改正され、「国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない」と規定されました。
 こうした教育活動は、これまでも「交流教育」や「交流学習」という名称で行われてきましたが、法改正を受けて「交流及び共同学習」という名称に改められ、教育課程上の位置づけの明確化や計画的な実施等、その充実に向けた取組が行われています。平成20年に示された小・中学校の学習指導要領には「交流及び共同学習」という名称が初めて記載され、その積極的な推進が求められています。

 ○ 通級による指導とは、何ですか?
 小学校や中学校の通常の学級に在籍している言語障がい、自閉症、情緒障がい、弱視、難聴、学習障がい(LD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、肢体不自由、病弱・身体虚弱等の障がいがある児童生徒のうち、おおむね通常の学級で学習や生活が可能な児童生徒(注:知的障がいは、対象に含まれていません)を対象としています。
 各教科等の指導は主として通常の学級で行いつつ、個々の障がいの状態に応じた特別の指導(「自立活動」、「各教科の補充指導」)を特別の指導の場(通級指導教室)で行う教育形態です。
 なお、特別支援学級に在籍する児童生徒は、通級による指導の対象にはなりません。

 ○ 特別支援学校とは、どのような学校ですか?
 特別支援学校は、視覚障がい者、聴覚障がい者、知的障がい者、肢体不自由者、病弱者に対して、障がいによる学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています。
 視覚障がい者、聴覚障がい者、肢体不自由者、病弱者には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準ずる教育が、また、知的障がい者には知的障がいの特徴を踏まえた教育が行われます。
 特別支援学校は、在籍する幼児児童生徒に教育を行うだけでなく、いわゆる「センター的機能」として、地域の幼稚園・保育所、小・中・高等学校に在籍する障がいのある幼児児童生徒の教育に関する助言や支援等も行っています。

4 校内支援体制

 ○ 子どもの様子が気になるのですが、誰に相談すればよいでしょうか?
 まずは、担任の先生に相談してみてはいかがでしょうか。もし、担任の先生に直接相談をしにくい場合には、特別支援教育コーディネーターという役割を持った先生に相談をしてみましょう。特別支援教育コーディネーターは特別支援教育に関する研修などを受け、それに関する専門的な知識を持っていますので、子どもの気になる様子について相談にのってもらえます。
 また、学校によっては、スクールカウンセラーが相談を受け付けていることがあります。高等学校では、公立学校の場合は上記の特別支援教育コーディネーターがいますが、私立学校ではシステムが違う場合もあります。

 ○ 特別支援教育支援員とは、何ですか?
 平成19年4月の特別支援教育への移行に伴い、小・中学校での障がいのある子どもに対して、担任の補助として支援を行う役割として「特別支援教育支援員」が地方財政措置により配置されることになりました。
 特別支援教育支援員の役割は、@日常生活上の介助、A発達障がいのある児童生徒に対する学習支援、B学習活動、教室間移動等における介助、C児童生徒の健康・安全確保関係、D運動会、学習発表会、修学旅行等の学校行事等における介助、E周囲の児童生徒の障がい理解促進等です。
 いずれも、担任などと連携しながら子どもと関わることが大切です。

 ○ 個別の指導計画とは、何ですか?
 個別の指導計画の作成は、子どもの困難さ、必要としている支援、子どもの強い能力等、子どもに関する様々な情報を集めることから始められます。それらを総合的にみて、学校や社会生活を充実させるために身につけておくべき目標や内容を決めます。そして、子どもが目標を達成するためには、どのような手だてが必要か考えます。
 個別の指導計画の作成にあたっては、通常の学級での授業の際に、その子どもに対してどのような指導・支援を行うかについても具体的に考えます。

 ○ 個別の教育支援計画とは、何ですか?
 個別の教育支援計画とは、障がいのある子ども一人一人に対して、教育、医療、保健、福祉、労働等の関係機関が連携して効果的な支援を行うための計画です。子どものニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考えの下、乳幼児期から学校卒業後までを通して一貫した教育的支援を行うことを目的としています。
 個別の教育支援計画の作成に関しては、関係機関の担当者や保護者も交え、それぞれの支援の在り方について総合的に検討していくことが大切です。

 ○ 子どもの担任と指導の仕方についての考え方が合いません。どうしたらよいでしょうか?
 まずは、担任の先生と話をする時間を取るとよいと思います。担任の先生がどういう考え(意図)で子どもを指導しているのか、本人の考えを聞いてみることで理解できる場合があります。
 また、願いや課題点ばかりを一方的に伝えるよりは、担任の先生の指導で助かっている点等も合わせて伝えるとよいと思います。それでもお互いの考え方に違いがみられる場合には、校(園)内の特別支援教育コーディネーターの先生にも話してはいかがでしょうか。そうすることで、校内全体で支援体制を検討してもらえる可能性があります。

 ○ スクールカウンセラーとは、何ですか?子どものことを相談することは、できるのでしょうか?
 スクールカウンセラーとは、学校で心理相談業務を行っている心理職の専門家です。教育委員会からの派遣により定期的に学校を訪問し、子ども、先生、保護者の相談を受けています。学校の先生とは異なる立場となりますが、校内で支援にあたる一職員として相談業務にあたっています。
 相談内容としては、主に日常の悩み、いじめ、不登校に関することや、発達障がいの特性による困難さへの対応等があります。
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《U 発達障害Q&A  子育てに関するQ&A》

1 就学前

 ○ きょうだいや他の子どもと比べて何だか違う気がして心配です。
 他の子どもと比べて、お子さんの発達や行動について「どうして?」と心配になることがあります。将来のことも考え、今のうちに何かしてあげたいと思います。熱心にいろいろなことに取り組み、少しでも他の子どもと同じように伸ばしてあげたいという気持ちが強くなることがあります。
 しかし、そのことが、逆にお子さんに負担をかけてしまうことがあり、かえってマイナスの影響を及ぼすことがあります。また、親御さんの不安な気持ちが、お子さんに伝わってしまうことも少なくありません。
 お子さんの育ちについて不安を感じたら、まずは安心して話ができる身近な人に相談してみましょう。あるいは、健診でお世話になった保健師さんや専門の相談機関(発達障がい者支援センター「相談窓口」)に相談してみましょう。お子さんの特性に合わせた子育てのアドバイスをもらえるでしょう。また、引き続きサポートをしてもらえることもあります。

 ○ 同じくらいの年齢の子と遊ぶことができないので心配です。
 幼児期は、集団の中でことばや友達との関わり(社会性)を育んでいきます。子どもたちの中には、自分の思っていることをうまく友達に話せなかったり、友達の言うことがよくわからなかったりして一緒に遊べなくなってしまう子どもがいます。ここで重要となるのは、「ことばの育ち」と「他者との関わり」の2点から考えることです。
 「ことばの育ち」では、理解ができて使える単語や話し方を増やしていくために、いろいろな場面での体験を通して事物や出来事に関することばの理解や表現方法を教えていく必要があります。
 「他者との関わり」では、集団の中にいてもその場の状況やルール(暗黙のルールも含めて)がうまく理解できないのか、友達の気持ちや意図していることに気づかずにいるのか確認する必要があります。もし、設定された集団活動を嫌がり、集団から離れてしまう姿が頻繁に見られるようでしたら地域の相談機関(発達障がい者支援センター「相談窓口」)に詳しく相談にのってもらってはいかがでしょうか。

 ○ 幼稚園(保育所)から「みんなと一緒の行動がとれないから何とかして欲しい」と言われました。どうしたらよいでしょうか?
 発達障がいのある子どもの中には、集団で行動することが苦手な子どもがいます。しかし、それは、保護者の方だけで解決できることではありません。保護者としてできることは、お子さんに集団活動を無理強いしないようにしたり、注意したり叱ったりしないようにすることです。これらは、事態をより複雑にする可能性があります。まず、幼稚園(保育所)でのお子さんの様子について担当の先生から話を聞き、状況を把握しましょう。その上でどんな対応をしてもらうべきか、話し合うことが必要です。
 地域の相談機関(発達障がい者支援センター「相談窓口」)に相談したりして適切な対応策を聞きましょう。現在、指導や支援を受けている専門機関があれば、その担当者にアドバイスをもらったりすることもよいでしょう。

 ○ 他の友達が使っているおもちゃを取ったり、急に友達を叩いたりしてしまいます。どうしたらよいでしょうか?
 自分の感情をコントロールしたり、言葉で表現したりすることが難しいために、友達のおもちゃを取ってしまったり叩いてしまったりする子どもがいます。また、その場の状況やルールが分からなかったり、友達の気持ちを思いやることが難しかったりする場合もあります。
 このような場合には、まずどうしてお子さんがそういった行動をとってしまったのか、その時の状況や理由を正しく知ることが大切です。頭ごなしに叱るのではなく、お子さんがとってしまった行動の理由や思いに共感した上で、どのように行動すればよいのかを具体的に教えてあげましょう。
 お子さんが、乱暴な行動をとってしまいそうなことが察知された時には、穏やかに声をかけて事前に止めることも1つの方法です。

 ○ 思ったことをそのまま言ってしまうことがあります。どうしたらよいでしょうか?
 相手の気持ちを想像したり、表情から相手の気持ちを読み取ったりすることが難しいために、相手の嫌がる(傷つく)言葉を率直に言ってしまう子どもがいます。
 このようなお子さんに対しては、その場で相手の嫌がることを言ってはいけないことを教えましょう。ただし、相手の気持ちを想像することが難しいため、「どうして相手が嫌がることを言うの?」と尋ねたり、「相手が傷つくことは言いません」と抽象的に注意したりするのでは、お子さんはどうしたらよいのかわかりません。「〇〇という言葉は、言わないよ」といったように具体的に教えましょう。

 ○ 落ち着きがないことが心配です。
 落ち着きのない行動には、様々な理由が考えられます。例えば、目の前の興味のあるものに触ってみたい、苦手な状況から逃げ出したい、自分が何をすればよいのかわからない、大人からもっと注目されたいなどです。
 お子さんにとって危険な行動をした場合はすぐに止める必要がありますが、行動の理由を考えて対応することが大切です。何か嫌なことがあって落ち着かない行動をとっている場合に、叱ったり注意したりしても効果はありません。まず、そうした行動をとったお子さんの気持ちを受け止めましょう。
 お子さんがどう振る舞えばよいのかわからない時は、具体的に指示しましょう。例えば、約束やルールを「○○しましょう」と具体的に伝えるとよいです。落ち着きがないお子さんは、どうしても叱られることが多くなりがちです。落ち着いている時や状況に合った行動ができた時には、ほめることも大切です。

 ○ 外出先で突然、子どもが走り出し、目が離せません。どうしたらよいでしょうか?
 お子さんが急に走り出すと事故に遭うのではないかと気が気ではなく、心が休まりません。お子さんが突然、走り出してしまうのには、自分の好きなものを見つけたために嬉しくて駆け寄ってしまう、あるいは逆に嫌いなものや初めての場所で不安になり、それらを避けるために走り出してしまうなどの理由が考えられます。
 外出先でのお子さんの好きなものや場所、苦手なものや場所を把握しておきましょう。また、外出先では、手をつないで行動することをお子さんと約束しておきましょう。時間に余裕がない時は、迷子になりやすい広い場所に出かけることは控え、親御さん自身が疲れてしまわないようにしましょう。

 ○ 何度注意しても子どもが言うことをきかないので、つい感情的に叱ってしまいます。
 お子さんの行動が、周りに迷惑をかけないようにと気を遣ったり、周囲の視線が気になったりしてお子さんを過度に注意し叱ってしまうことがあります。このことで親御さんが、自己嫌悪に陥ったりストレスがたまったりして、ますますイライラしてお子さんを感情的に叱ってしまうといった悪循環に陥ってしまいがちです。
 また、お子さんにおいては、度々、注意されることで自信をなくしてしまったり、やる気を失ってしまったり、反抗的になったりします。こうした状況は、親御さんとお子さんの双方にとって辛いことです。親御さんの焦る気持ちは、親心として当然です。それでも、まずはお子さんがなぜ、そのような行動をするのかを振り返り、お子さんの気持ちを推測してみましょう。お子さんの行動と気持ちを振り返ることで、行動の意味が見えてきます。
 冷静に振り返れば、お子さんもずいぶんと我慢し、頑張っていることが見えてきます。あわせて、ご自身のお子さんへの関わり方も振り返ることで、お子さんの状態にあった対応をしているのかを見直すことができます。お子さんやご自身のことを振り返ることとともに、親御さんが休息をとってリフレッシュしたり、周囲からの助けを借りたりすることも大切です。

 ○ 予定を変更するとパニックになってしまいます。どうしたらよいでしょうか?
 いつものやり方にこだわる子どもは、見通しが立たない状況、もしくは見通しと異なった状況に置かれると不安が高まります。これは、予期しなかった状況の中で、いったいこれらから何が起こるのか分からず不安だけが高まり、どのように対応すればよいのかを想像することが難しいためです。予定の変更が生じた時は、あらかじめお子さんにそのことを伝え、どのように行動するかを具体的に伝えましょう。そうすることで、お子さんの不安を和らげることができます。そして、予定の変更を伝える際には、言葉での説明だけでなく写真や絵カードなどを添えて伝えると、お子さんに理解しやすいです。
 もし、やむを得ず急な予定の変更が生じた場合には、上述のような対応をした上でお子さんの様子を確認し、混乱が大きい場合には無理強いをしないことが大切です。

 ○ 初めての場所や活動が苦手です。
 初めての場所や初めての行事などの活動に対して身がすくんだり、パニックを起こしてしまったりする子どもがいます。初めての場所や活動に対して、不安な気持ちになるのは当然です。このような場合、「この状況は、あの時と似ているから大丈夫」と以前に経験したことや類似した出来事を思い出して、これからのことを予測することができれば不安を軽減することができます。しかし、こうしたことが難しいお子さんにとっては、初めての場所や活動は非常に不安が大きいものとなります。
 お子さんの不安を軽減させるために、事前に写真や絵などを使用して具体的に説明をしてあげましょう。そして、初めての場所で過ごせたり、初めての活動に参加できたりした時には、そのことをほめてあげましょう。

 ○ 音にひどく敏感なことが気になります。
 音そのものが苦手である、あるいは、赤ちゃんの泣き声や工事の音、トイレのエアタオルなどの特定の音を嫌がる子どもがいます。こうした子どもには、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンなどがあると安心して外出できる場合があります。
 また、音に対して敏感であるにもかかわらず、大きな声を出す子どもの中には、自分の声で嫌な音を遮ろうとしていることがあります。
 音への過敏性の対応に当たっては、まずはお子さんが苦手とする音を把握することが大切です。お子さんの苦手な音を把握できれば、お子さんの前ではその音を極力出さない、音を緩和するものを用いる、苦手な音が聞こえる場所は避けるといった対応をとることができます。
 加えて、音に対して過敏になる背景には、不適切な環境のために強い不安や抑うつ状態にある可能性が考えられます。こうした場合には、不安を喚起させない環境づくりに努め、お子さんが気持ちを落ち着けることができるスペースを作るなどして対応することが求められます。

 ○ 身体の動きがぎこちないことが気になります。
 走り方がぎこちなかったり、ブランコに上手く乗ることができなかったりするなど、自分の身体を上手に使うことが難しい子どもがいます。また、不注意のために足元や周囲をよく見ておらず、転んだり物にぶつかったりする子どももいます。こうした子どもは、周りのお友達に身体を上手に動かすことができないことをからかわれたり、失敗経験を重ねたりすることで運動に対して苦手意識をもってしまうことがあります。まずはお子さんの好きな遊びを通して、身体を動かす楽しさを経験させることが大切です。トランポリンやシーツブランコなど、大人が子どもと一緒に楽しみながら身体を動かす機会を積極的につくりましょう。また、ボールプールなど、手足の動きがぎこちない子どもが、そうでない子どもと同じように遊べる遊具の活用も自発的な運動を促進します。

 ○ 特定のおもちゃで遊んだり、同じ絵本ばかり読んだりして興味が広がりません。
 子どもが、同じおもちゃなどで遊び続けることに対して、どうして飽きないのだろうかと不思議に感じることがあるでしょう。子どもが、同じおもちゃなどで遊び続けるといった行為は、その対象にじっくりと関わり、満足感や充実感を味わっているという意味では、今後の遊びを発展させていく上でとても大切なことです。一つのことを大事にしている子どもの気持ちをほめてあげましょう。
 一方、子どもが、他のおもちゃなどに関心が向きにくい理由には、扱い方(遊び方)がわからない、特定のおもちゃなどであれば他者と関わりがもちやすいなどといったことが考えられます。お子さんが、気に入っているおもちゃやそれに類似したおもちゃなどを介して楽しいと思える遊びの環境を作り、お子さんの他の遊びへの興味・関心を広げていけるとよいです。
 また、見慣れないおもちゃや絵本に不安を覚え、いつも同じものであることで気持ちが落ち着き、安心できる子どももいます。この場合は、お子さんの気持ちの安定を大事にしつつ、環境に新しいものを徐々に加え、そのことへの反応を見ながら、少しずつ新しいおもちゃや絵本への関心を引き出すようにしましょう。

2 小学校段階

 ○ 自分の好きなことについて一方的に話したり、突然、話題を変えたりします。どうしたらよいでしょうか。
 このようなお子さんの行動に対して、ただおかしいと注意するのは逆効果であり好ましくありません。どうすればよいのか、具体的にお子さんに伝えることが大切です。
 おしゃべりは、相手と自分が話したり、聞いたりを順番に繰り返すことによりお互いのことがわかり、楽しいことなのだということを教えましょう。「少し話したら、止まろう」、「2回話したら、いったん止まって何回話したか数えるようにしよう」などの具体的な約束を決め、実際に家族の会話の中で練習するとよいでしょう。
 また、突然、話題が変わったために何の話をしているのかわからなくなった場合には、大げさな表情を見せて、「ん?今何の話だったっけ?」などと問いかけ、お子さんが自らの話し方に気づくようにするとよいでしょう。

 ○ 電車や文字などをよく知っているけれど、いつもその話ばかりなので気になります。
 自分の好きなことや興味・関心のあることに夢中になれる集中力のあるお子さんです。しかし、周りの状況や相手の状況に関係なく、自分の興味・関心のあることを一方的に伝えようとするのは気になります。ある特定のこと(もの)に高い関心をもつあまりに他のこと(友達がする遊びなど)にあまり関心を示さず、自分の興味・関心のあることだけを優先している可能性があります。
 同じことを何回も話したり、大人には興味のないことであったりしても、まずはお子さんの話をじっくりと聞いてあげることが大切です。一方で、集団の中で状況に応じて自分の行動をコントロールすることは、大人に近づいていくための練習であると考えると、他者との関わり方や他者の気持ちへの気づきを育てていく必要があります。何回話したら終わりといったように、時間を区切る習慣をつけていくことから始めましょう。

 ○ 勝ち負けのこだわりが強く、みんなと楽しく遊べません。
 「勝つこと」にこだわるあまり、負けるかもしれないことに予測が及ばないままゲームに参加してしまい、負けるとすぐにかんしゃくを起こすということがあります。
 また、勝ち負けが、遊びの中だけのことに過ぎないという状況の理解が難しく、「負ける=ダメなこと」と思い込んでしまうこともあります。例えば、負けた方が、先に好きなものを選べるじゃんけんゲームや勝ち負けのないゲームをやってみる、大人や友達が負けたときのモデルを示す、負けたときに少しでも自暴自棄にならずにいられたら、すぐにほめる、認めるといったことを繰り返すうちに、次第に克服できるようになる場合があります。

 ○ 体育や運動が苦手です。
 手足を同時に動かしたり、相手や物との距離感を把握したりすることが苦手であることが、その背景として考えられます。例えば、ボールを投げるのがぎこちないのは、片手を大きく振り上げると同時に反対側の足を一歩踏み出すといった手足や身体全体の動きをうまく協調させることが難しいためです。また、ドアや隙間を通り抜けるときに、よくドア枠などにぶつかるのは、その隙間と自分の身体の幅の感覚をとらえることが難しいためです。まずは、お子さんが楽しく参加できる遊びや運動の機会をつくるとよいでしょう。例えば、風船を羽の代わりに使う風船バトミントンは、風船の動きがゆっくりであるため、素早い動きについていくことが難しいお子さんでも楽しく取り組めます。また、段ボールやトンネルなどをくぐったりする遊びは、身体感覚を育むことができます。

 ○ 落ち着きがないことが心配です。
 落ち着きのない行動には、様々な理由が考えられます。例えば、気になるものに触ってみたい、活動の意味や勉強がわからないためにその場から逃げ出したい、もっと周囲から注目されたいなどがあります。
 また、生物学的な原因によって特に理由なく落ち着けない場合もあり、叱ったり注意したりするだけでは効果がありません。危険性の高い状況や場所では、どのような行動をとる必要があるのか、例えば、道路は歩道か道の端を歩くこと、交差点では必ず両側を見て信号を確認することなどを辛抱強く繰り返し教えましょう。
 じっと落ち着いていることに、困難を強く感じているお子さんの気持ちを受け止めましょう。そして、どうすればよいのかを具体的に伝えましょう。「○○しましょう」と約束やルールを具体的に紙に書くのもよいです。落ち着きがないお子さんは、どうしても叱られることが多くなりますが、ほとんどの場合、逆効果です。普段の何気ないことも含め、例えばじっとしていることが10秒間長くできるようになったことでも、できていることや頑張っていることをほめることが大切です。

 ○ 忘れ物が多いことが気になります。
 持ち物を間違えずに用意する、用意したものを忘れず持って行くためには、まわりの人たちも確認のための声をかけるなどして本人に意識づけをすることが大切です。持ち物リストの活用なども有効です。用意ができたらチェックをつけ、大人に確認してもらいます。はじめは大人がリストを作成しますが、少しずつ自分でも作れるように教えていきます。持ち物が多いときは、大きな袋やバッグにすべて入れるようにします。また、家なら玄関、学校なら机の横などに、用意ができたら気づきやすい場所にいつも置くようにします。

 ○ 手先が不器用で、コンパスを使ったりすることや図工の工作などで手こずったりています。何か家庭でできることはありますか。
 手首をひねらずに作図できるコンパスや塗りやすいのり、書きやすい三角形の鉛筆など、一工夫された文房具が市販されています。どれがお子さんにとって一番使いやすいかを試してみるとよいでしょう。また、家庭でのお手伝い(洗濯物たたみ、茶碗洗いなど)も、手先の動きのトレーニングになります。少し頑張ればできる程度の難しさの課題が、一番、子どもを伸ばしてくれます。適度に大人が支援しながら、練習する機会を日々の生活の中で取り入れるとよいでしょう。

 ○ 小学校4年生ですが、音読で「め」と「ぬ」を読み間違えたり、読み飛ばしをしたりします。日常の会話は普通にできるのに、なぜなのか不思議です。
 これは、お子さんがやる気がなく頑張っていないからではなく、お子さんの脳の機能の偏りのために起こります。「聞く」、「話す」能力に問題がない場合、「読み間違い」が生じる背景には、形を正確にとらえることが難しいことや文字から音(読み方)をイメージすることが難しいことが考えられます。また、「読み飛ばし」の背景には、一文をどこで区切ったらよいのかわからず、一文字ずつ目で追ってしまったり、自分が今どこを読んでいるのかが途中でわからなくなり、単語や行を飛ばしてしまったりして文章をスムーズに読めないことがあります。

3 中学校・高等学校段階

 ○ 音にひどく敏感なことが気になります。
 日常生活の中で、音に敏感な子どもが穏やかな生活を送ることは、とても大変なことです。音そのものが苦手な子どももいますが、子どもによっては、突然の鳥の鳴き声や道路工事の音などが気になったり、嫌だったりする場合があります。また、通常は気にならないようなざわめきが気になって、仕方がない場合もあります。こうした子どもには、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンなどを使用して音を緩和したり、気持ちを落ち着かせることのできる環境を設けたりすることで安心して生活できる場合があります。
 音に敏感なお子さんと生活することは、家族にとってもとても大変です。お子さんの苦手な音を把握できれば、お子さんの前ではその音を極力出さない、苦手な音が聞こえる場所は避けるなどといった対応をとることができます。加えて、音に対して過敏になる背景には、不適切な環境のために強い不安や抑うつ状態にある可能性が考えられます。こうした場合には、不安を喚起させない環境づくりに努める、お子さんが気持ちを落ち着けることができるスペースを作るなどして対応することが求められます。

 ○ 少し注意をするだけで反抗的になるので困っています。
 思春期になると、急に口数が減り親への態度が反抗的になることがあります。こうした子どもの様子は成長過程の1つですが、親などの大人からの関わりに過敏に反応する子どもがいます。こうした子どもは、これまで周りから注意されたり、叱責を受けたりした経験を繰り返してきたことにより、わずかな注意を受けただけでも反抗的になることがあります。こうした経験を積み重ねると、子どもは自分を嫌いになり、さらには自分が居てはいけない存在であると感じるようになります。
 注意をしたからといって、自分の努力だけではどうにもならないことがあります。お子さんに注意をするよりも、小さなことでも本人のよさを見つけたり、少しでもよい方向に努力したり、さらには努力する意欲を見せるだけでもほめることが大切です。
 これによって、お子さんは自分のことが少しずつ好きになり、自分が変われるかもしれないという希望をもてるようになります。また、お子さんの反抗的な態度を助長しないために、親御さんが感情的にならず冷静に対応することが必要です。

 ○ 中学校に入ったら、学習についていけなくなりました。どうしたらよいでしょうか。  
 中学校は、小学校と異なり教科担任制で授業が行われます。教科によって担当が変わるため、担任によって指導の仕方が異なります。変化に対応することが苦手な子どもは、それだけでもストレスに感じます。また、小学校にはなかった新たな教科が加わり、戸惑いを感じているのかもしれません。
 担任の先生に相談し、学習の進度も含めてお子さんが何に困っているのかを確認してもらいましょう。その上で、家庭学習の進め方についてもアドバイスを受けるとよいでしょう。

 ○ 中学生になっても、まだ学校の持ち物の準備ができず困っています。
 担任の先生に協力を依頼して、持ち物はすべて黒板に書いてもらい、それを見ながらメモ帳などに確実に書けているかを確認してもらうようにしましょう。また、それぞれの授業に必要な教科書、ノート、問題集などを1セットにして、クリアケースなどを用いてまとめておく方法もあります。家庭では、次の日の予定を書いたメモ帳を親御さんが一緒に見て、授業で必要なものを確認しましょう。初めのうちは声がけをし、最終的には一人でできるように習慣化させていくことが大切です。自分から持ち物を準備しようとしたり、実際に一人でできたりした場合は十分にほめてあげましょう。

 ○ 中学生になっても、まだ親が声をかけないと部屋を片づけません。どうしたらよいでしょう。
 こうしたお子さんは、部屋を「片づけない」のではなく、どのように、また、どこに物を片づければよいかが「わからない」と考えられます。片付けが苦手な子どもの中には、片づけ方を身に付けることが難しい場合もあります。「ちゃんと片づけなさい」では、どうしたら良いのかが全くわかりません。
 一度にきれいに片づけるように求めるのではなく、少しずつ片づける習慣を身に着けるようにするとよいでしょう。最初は、学校で使うものと家庭で使うものとを分けて片づけることから始め、次いで学校の勉強で使うものと部活などのその他で使うものとに分けて片づけるようにさせましょう。このように順を追って、少しずつ分類し整理できるようにしていきましょう。
 また、片づけ方を具体的に示すことも大切です。どこに何を置くのかを決め、収納場所に文字やマークなどの手がかりを示すことは1つの方法です。また、よく使うもの、あまり使わないものというように分類して収納し、使用したらそこに戻す習慣をつけましょう。
 お子さんが自ら片づけることができたら、そのことをほめてあげることが大切です。

  ○ もともと整理は苦手なのですが、中学生になってノートや筆記用具、さらには教科書までなくしてきます。何度言い聞かせても改善しません。どうしたらよいのでしょうか。
 中学生になると、教室を移動しての授業が増えます。授業に必要な教材などを整理できないまま慌てて移動すれば、教室にそれらを置き忘れたり、移動中に落としたりすることがあります。ノートなどをなくしてしまう原因を見つけ、それを少しでも防ぐための工夫や対応をお子さんと一緒に考えましょう。例えば、教科ごとにクリアケースなどを用意し、それに教科書、副教材(問題集)、ノート、下敷きなどをひとまとめにしておくことも一つの方法です。お子さんが私物を頻繁になくし、なかなか改善が見られない場合には、友人関係など物を整理することの難しさ以外に他の理由がないかを学級担任に確認してみましょう。

 ○ 制服を着ることが嫌いなようで、中学校に入学してから「苦しいから着たくない」とわがままを言います。どうしたらよいでしょうか。  
 小学校の時、お子さんは、どのような服装で学校に通っていましたか。ゆったりとした上着やズボンではありませんでしたか。わがままで制服を着用しないのではなく、肌触りや体の締め付けといった感覚上の敏感さがあるために着用することが難しい子どもがいます。お子さんが、なぜ制服を着たくないのか、まずはその理由を知ることが大切です。その上で、担任や生徒指導担当の先生と相談しましょう。例えば、制服を着用する時間帯と着用しなくてよい時間帯をつくってもらうことで、安心できる場合があります。また、ワイシャツの襟やそで口には糊付けをしない、サスペンダーの使用を許可してもらうなどの対応も考えられます。

 ○ 高校生になり毎月の小遣いを増やしたのですが、渡すとすぐに使い切ってしまいます。中学生の時は、そのようなことはありませんでした。どうしたらよいでしょうか。  
 子どもが自分でお金の管理をできるようになることは、社会人になる準備として大切なことです。もらった小遣いを使い切ってしまう理由には、親が稼いだお金をもらっているという自覚がないことや、自分が欲しいと思ったものを衝動的に購入してしまうことなどが挙げられます。高校生になると友達との付き合いが増えたり、電車通学の場合には最寄り駅周辺の店に立ち寄る機会が増えたりします。お子さんが浪費をしてしまわないように、小遣い帳をつけさせましょう。細かく支出の内訳を記入することが難しい場合は、ノートなどにその日のレシートを貼り付けるだけでも構いません。計画的に小遣いを使用できたかを確認して、次の小遣いを渡すようにしましょう。また、学級担任に同級生などとの交友関係について聞いてみることも必要です。

4 全般的に

 ○ 子どもの様子が気になるのですが、病院や相談機関に連れて行った方がよいでしょうか?   
 保護者の方からみて、お子さんの発達が非常に遅い、あるいは偏っている等、気になる様子がありましたら、保健師さんや最寄りの相談機関に相談をしてみることをおすすめします。発達障がいのあるお子さんの場合、できるだけ早い時期から、お子さんの特性に合った支援をしていくことが大切になります。また、相談機関や発達障がいのあるお子さんを診ている病院では、保護者の方に、お子さんにあった関わり方のアドバイスをもらうこともできます。

 ○ 子どもの様子が気になるのですが、どこに相談に行けばよいでしょうか? 
 まずは、健診時に保健師さんやお医者さんに相談をしてみてはいかがでしょうか。また、地域の療育センターや発達障がい者支援センターでも相談を受けています。公的機関ではありませんが、専門医のいる病院もあります。各地域の福祉課等で相談機関の情報を集めていることもありますので、相談場所が見つからない場合には役所に問い合わせてもよいかもしれません。なお、殆どの機関では予約が必要になりますで、電話で問い合わせをしてからお出掛けすることをおすすめします。

 ○ 相談機関では、どのようなことを相談にのってくれるのでしょうか? 
 殆どの相談機関で、お子さんの発達や関わり方等の相談を受付けています。しかし、アドバイスのポイントはスタッフの専門領域により異なります。例えば、保健センターでは、お子さんの発達について専門知識を持ったスタッフが、発達障がい者支援センターでは、発達障がいの特性について専門的な知識を持ったスタッフが相談にのってくれます。
 同様に、県や市の教育センターでは、学校教育について専門性の高いスタッフが相談にのってくれます。地域に複数の相談機関がある場合には、保護者の方がご心配されている内容に応じて相談機関を選択するのも1つの方法です。

 ○ 家庭での子どもへのかかわり方について助言してもらうことはできるのでしょうか? 
 多くの相談機関では、お子さんの様子や、お子さんと保護者の方の関わりをうかがいながら、家庭でのお子さんとの遊び方や関わり方の助言をおこなっています。保護者の方が関わりかけてもあまり興味を示さない、食事の偏りや衣服へのこだわりがある等、日常的な子育ての悩みや不安があるようでしたら、早めに相談機関に行ってみることをおすすめします。

 ○ 障がいのある子どもを積極的に受け入れてくれる保育所や幼稚園はありますか?
 基本的に公立の幼稚園、保育所は障がいの有る無しにかかわらず地域の子どもの受け入れを行います。ですが、地域によって各施設の定員が違うため、申し込んでも待機となる場合があります。お住まいの地域の教育委員会(幼稚園)や役所の福祉課(保育所)などへお問い合わせください。
 また、障がいのある子どもを受け入れている私立幼稚園や保育所もありますが、事前に施設設備を見学したり、どのような支援が行われているかについて話を聞いたりしておく必要があります。いずれにしてもお子さんが入園の時期を迎える前に、早めに相談を始めることが大切です。

 
○ 専門機関で子どもに指導をしてもらうと、どれくらい費用がかかるのでしょうか? 
 療育センターや保健センター、児童相談所などの公的な専門機関での指導は無料です。ただ、体験活動等イベント的なものの場合は旅費などの実費がかかる場合もあります。直接専門機関にお問い合わせください。また、大学や医療機関付属のセンター等は、登録費用や指導を受ける際の費用がかかる場合があります。指導を受けようとする前に、その機関の指導・支援の内容や費用などを調べておくことが必要です。

 ○ 発達障がいのある子どもをもつ保護者の話をきいてみたいのですが。どうしたらよいでしょうか?
 全国各地に発達障がいのあるお子さんをもつ保護者で構成される親の会があります。「発達障がい」と大きな枠で括って活動している会もあれば、LD、ADHD、自閉症、高機能自閉症等、診断名ごとに組織されている親の会もあります。お子さんの特性や聞いてみたい話の内容等をご検討の上、それぞれの会へお問い合わせください。
 
 ○ 幼稚園(保育所)から「みんなと一緒の行動がとれないから何とかして欲しい」と言われました。どうしたらよいでしょうか?  
 発達障がいのあるお子さんの中には、集団で行動することが苦手なお子さんもいます。しかし、それは、保護者の方だけで解決することではありません。まず、幼稚園や保育所での様子について担当の先生の話を聞き、状況を把握しましょう。その上でどんな対応をしてもらうべきか話し合うことが必要です。
 最近は幼稚園にも特別支援教育コーディネーターが配置されつつあります。そのような立場の先生に話し合いに入ってもらったり、地域の教育委員会や特別支援学校などの特別支援教育に詳しい専門家にアドバイスをもらったりすることもよいでしょう。現在指導を受けている専門機関があれば、その担当者に相談することも大切です。

 ○ 落ち着きがない、他の子どもと遊べない等、子どもの様子が気になります。子どもに合わせた指導をしてくれるところはありますか?
 まずは普段子どもが多くの時間を費やす場でできそうな工夫(例えば、遊びのルールをわかりやすく伝える、部屋のレイアウトを落ち着いた雰囲気にする等)をしてみます。それでも難しいようであれば、一度、お近くの相談機関に行かれてはいかがでしょうか。まずは、「どうして他の子と遊べないのか」について、その要因や、改善策について一緒に考えてくださると思います。具体的な相談機関としては、各自治体の教育センター、特別支援学校の地域支援、児童相談所、保健所、医療機関などがあります。また、民間の機関でも、こうした指導を行っているところがあります。

 ○ 兄弟や他の子と比べて何だか違う気がして心配です。 
 他のお子さんと比べて「どうして?」と心配になることがあるかもしれません。また、熱心にいろいろなことをお子さんに取り組ませ、少しでも他のお子さんと同じように伸ばしてあげたいという気持ちが強くなるかもしれません。ですが、お子さんによっては、逆に負担をかけてしまうこともありますし、保護者の方の不安な気持ちがお子さんに伝わってしまうことも少なくありません。
 もし、保護者の方が不安を感じたら、安心して話ができる身近な人に相談してみてはどうでしょうか。健診でお世話になった保健師さんやお近くの相談機関の先生でしたら、お子さんの特性に合わせた子育てのヒントやアドバイス等を教えてもらえるかもしれません。また、引き続きサポートをしてもらえることもあります。
 
  ○ 身体の動きがぎこちないことが気になります。
 子どもたちが生活している様々な場では、他の友だちと同じように体を動かしたり、何かを作ったりすることが求められます。そのため、お子さんが他の友だちと自分を比べて、必要以上に劣等感を抱いてしまうことがあります。
 お子さんが楽しく参加できる、やり遂げられることは大切なことです。「楽しかった!」「またやりたい!」といった気持ちをもてるようお子さんの気持ちを汲み取りながら必要に応じて大人が手助けし、お子さんが楽しく活動できるよう配慮することが重要です。
  
 
○ 音にひどく敏感なことが気になります。
 日常生活の中で音に敏感なお子さんが穏やかな生活を送ることはとても大変なことです。音そのものが苦手なお子さんもいますが、お子さんによっては、突然の鳥の鳴き声、偶然道路で出会った工事の音等、突然大きな音が聞こえることへの不安から音に敏感になっていることもあります。
 こうしたお子さんにとって、耳栓やヘッドフォン等があることで安心して外出できることもあります。また、音に敏感なのに大きな声を出すお子さんの場合、自分の声で他の音を遮って安心していることもあります。一般的に望ましくない行動ではあっても、すぐに制止をするのではなく、行動のを意味を考えてあげることも大切です。
 一方、音に敏感なお子さんと生活をする家族もとても大変です。音を出さないよう、生活の中で様々な制限を受けてしまうからです。音の敏感なお子さんの生活に合わせ家族が我慢をするだけではなく、家族一人一人の生活を考え、対応を検討することが大切です。
 
 ○ お話はするけれども会話になりません。どうしたらよいでしょうか? 
 聞き手の意図を十分に汲み取ることは、大人でも難しいことです。会話では聞き手が答えやすいように、質問する側が何を聞きたいのか明確にして相手に問いかけることが必要です。それでも、聞きたいことがうまく伝えられない時には、確認することのできるお友だちのネットワークを作っておくことも1つの方法でしょう。一人で全てを把握することは難しくても誰かに尋ね、必要な情報を補っていくことも生活していく上では必要です。
 
 ○ 同じくらいの年齢の子と遊ぶことができないので心配です。 
 幼児期は、集団の中でことばや他者(お友達)との関わり(社会性)を育んでいきます。子どもたちの中には、自分の思っていることをうまく友達に話せなかったり、お友達の言うことがよくわからなくて一緒に遊べなくなってしまうお子さんがいます。ここで重要となるのは、「ことばの育ち」と「他者との関わり(社会性の)」の2点です。
「ことばの育ち」では、語彙力を伸ばしていくためには、いろいろな場面で体験を通した事物や出来事の表現方法を教えていく必要があります。
 「他者との関わり(社会性)」では、集団の中にいても場の状況がうまく理解できなかったり、お友だちのことばの裏に込められた気持ちに気づかずにいるのか確認する必要があると思われます。もし、設定された集団活動を嫌がり、集団から離脱するような姿が頻繁にみられるようでしたら、地域の相談員の先生に詳しく相談にのってもらってはいかがでしょうか。
 
 
○ 急な予定の変更ができません。どうしたらよいでしょうか? 
 初めての場所や活動等に対して、不安な気持ちになるのは当然です。私たちはこのような場合、「この状況は、あの時と似ているから大丈夫」と想起して、自分のこれまでの経験と照らし合わせてこれからのことを予測し、未知のことに取り組むことへの不安を軽減することもできます。
 しかし、いつものやり方にこだわる子の中には、こうした予測する力が十分発揮できない場合があります。だからこそ、なるべく、不必要な変更はせず、不安をかき立てないことが重要です。予定を変える場合には前もって伝えておくことが必要になってきます。
 
 ○ わずかな注意にもショックを受けやすいことが心配です。 
 注意や叱責を受けやすいお子さんの中には、自分に自信をなくし、わずかな注意にも敏感に反応してしまう場合があります。こうした状態が多いと、いつも相手の顔色を気にして、自分が正しいかどうかを確認してしまいがちになります。こうした状態のお子さんには、小さなことでも本人のよさを見つけてほめてあげることが大切です。また、大人がお子さんにどんな表情を向けているかを振り返ってみることで、どのようなニュアンスで大人の感情がお子さんに伝わっているのか気づくことがあるかもしれません。
 
 ○ 電車や文字などをよく知ってるけれど、いつもその話ばかりなので気になります。 
 自分が好きなことに夢中になれる集中力と関心の高さを持っているお子さんです。でも、一方で、周りの状況や相手の状況には関係なしに自分の興味関心のある内容を一方的に伝えようとする姿からは、気になる点が浮き彫りにされてきます。
 ある特定の事物事象に高い関心を持つあまり、他のこと(お友だちがする遊び等)にあまり関心を示さず、お気に入りのことだけを優先してしまっている可能性があります。集団の中で、状況に応じて自分の行動をコントロールすることが大人に近づいていくための練習だと考えるのであれば、少しでも、他者との関わり方についてのスキル(技能)と他者の気持ちへの気づきを育てていく必要があるのではないでしょうか。
 
 ○ 思っていることを何でも口に出してしまいます。どうしたらよいでしょうか? 
 幼児の頃は、相手の思い、感情、コンプレックス等を考慮せずに、思ったことをそのまま口にしてしまうことがあります。これは、相手の思いや状況に自分を置き換えて考えることや、相手を怒らせてしまったことの意味をとらえることが苦手なのかもしれません。不適切な発言がみられたときには、その場で、もしくはできるだけ直後に、相手を怒らせることはいけないことであることを教え、相手がどんな気持ちになったかを一緒に考えるようにしましょう。
 
 ○ 落ち着きがないことが心配です。 
 落ち着きのない行動には様々な理由が考えられます。触ってみたい、逃げ出したい、わからない、もっと注目して欲しいなど。危険な行動はすぐに止めますが、行動の理由を考えて対応します。困っている時には、ただ叱ったり注意したりしても効果はありません。まず気持ちを受け止めます。どうすればよいのかわからない場合は、具体的に指示します。約束やルールを「○○しましょう」と具体的に紙に書くのも良いと思います。落ち着きがない子どもはどうしても叱られることが多くなります。落ち着いている時にほめることも大切です。
  
 ○ 忘れ物が多いことが気になります。 
 持ち物を間違えずに用意する、用意したものを忘れず持って行くためには、まわりの人たちも確認のための声をかけるなどして意識づけをすることが大切です。持ち物リストの活用なども有効です。
 用意ができたらチェックをつけ、大人の人に確認してもらいます。はじめは大人がリストを作成しますが、少しずつ自分でも作れるように教えていきます。持ち物が多いときは、大きな袋やバッグにすべて入れるようにします。また、家なら玄関に、学校なら机の横など、用意ができたら気づきやすい場所にいつも置くようにします。
  
 ○ 部屋の中がいつも散らかっています。どうしたらよいでしょうか?
 「片付ける」ことをイメージさせましょう。大きな箱などをいくつか用意して、学校で使うもの、身につけるもの、遊ぶものなど、おおざっぱに分類をして箱の中に入れるようにします。グチャグチャになったものをいくつかの箱に分類することが「片付ける」ことの始まりです。次に箱の中のものをもう少し細かく分類していきます。例えば、学校で使うものを教科書、ノート、プリント、文房具などに分けます。片付ける順番を決める、何を入れる箱なのか明記する、どこから片付けるのか手順をわかりやすく示すことなどの工夫も大切です。
 

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